骨粗しょう症と診断されて、お医者さんでお薬をもらっている患者さんが多くいます。
ビスフォスフォネート製剤(以下BP製剤)というお薬があります。
我々歯科医師にとって大変厄介なお薬なので、説明します。
BP製剤は簡単に言うと骨を硬くし、骨折を予防したり、癌の進行を止めるお薬です。
骨は常に骨を増やす細胞と骨を溶かす細胞が働いていてバランスをとっています。
BP製剤はこの代謝機能をストップさせることで、骨をカチカチにしてしまうというお薬なのです。
さて、どうして歯科医院でBP製剤が厄介な薬なのでしょうか。
我々歯科医師は、お口の中の歯や骨をケアする仕事のため、骨の代謝がなくなると困ります。
また、傷が治らず、骨が壊死することがあります。
もっと困ったことに、壊死した場合、治療方法がないということです。
例えば、歯を抜いた後に骨の代謝がないと、傷がふさがらず、骨が壊死することがあります。
歯槽のうろうは、ばい菌で骨が減っていく病気ですが、治療の際、骨に触る治療があります。
歯槽のうろうの手術が出来なくなります。
インプラント手術は骨に人工の歯根を植える手術です。
BP製剤を飲んでいる方のインプラント治療は禁忌です。
骨折を予防することにより延命につながる薬ですが、
歯科の分野で起こる合併症について、お医者さんはどれだけ理解しているか大変疑問です。
なぜなら、当院に来院する患者さんのほとんどがBP製剤の副作用について知らないからです。
薬を処方する際に副作用についての説明をしていないということです。
日本口腔外科学会の指針では、3年以上内服にている場合は、3ヶ月以上内服を中止してから抜歯をすることになりました。
すぐに治療が必要でも治療を待ってもらうことになります。