東京都 葛飾区金町 尾澤歯科医院院長の野村です。
ミャンマーの歯科学会に参加してきましたので、レポートします。
2019年1月25日, 26日の2日間, ミャンマーのヤンゴンにてMyanmar dental conferenceが行われた. 2日目のPM13:00から17:00までBasic life support (BLS) のセッションがあり, ハンズオン講師として参加した.
このconferenceは年に2回行われ, ミャンマー第1の都市ヤンゴンと第2の都市マンダレイで交互に開催されている. 会場に入ると多くの企業展示があり, CAD/CAMやマイクロスコープなどの最新医療機器が並び日本の学会に参加しているのと変わらない雰囲気であった. 講演は日本の他にオーストラリア, 香港, 中国, 韓国やマレーシア, インドネシア, フィリピンなどのASEAN諸国からの専門家により行われた.
参加しているミャンマーの歯科医師はとても優秀で勉強熱心であり, 卒後留学支援により欧米や日本などの海外留学経験者が多い. 公用語はミャンマー語であるが, 医学部や歯学部の大学教育は英語で行われており, 日本との教育の差を感じた. 一方, 国内全体での歯科医療事情は学会からは全く見えてこない. 今回の学会に参加していたINGO Asssociation of Dental Volunteers of Japanの方に伺うと, 他の東南アジア諸国同様, 日常生活での食生活の変化によりう蝕罹患率が上がっているが, 治療が出来る環境ではないために, ほぼ手つかずの状態であるとのことであった. 盛大で華やかなイベントすなわち少数の上流階級のための最先端の治療の裏では, 大多数の初期治療でさえ受けられない国民がいるという大変複雑な事情を抱えているのを感じた.
今回の参加に至っては, Myanmar Dental Association会長であるDr.Thein Kyuとのつながりにある.Dr.Thein Kyuは 約20年前にミャンマーからの留学生として東京医科歯科大学高齢者歯科学講座に在籍していた. 帰国されてからは東京医科歯科大学との交流を続けており, 今回が約15年目とのことであった. 同門であるDr.Thein Kyuのご尽力により, 今回末席として参加させていただいた. 東京医科歯科大学歯科麻酔チームは海野雅浩名誉教授, 深山治久教授, 脇田亮准教授, 鶴見大学の阿部佳子准教授の豪華講師陣にて構成された. 皆, ミャンマーには複数回来ているのと同講座出身者のため同門ならではのチームワークで実習を施行した. 学会がContinuing Dental Educationの意味合いが強く, BLSコースには若い歯科医師が多く出席した. 目をキラキラさせながら聴講する姿に日本の学生や若い歯科医師との乖離を思わざるえなかった. また流暢な英語に対しては恥ずかしながら戸惑い, もう少し語彙があれば踏み込んだ説明が出来たと反省しきりであった.
ヤンゴン市街は急速に近代化が進行しており, 寛容, 勤勉で社交的な素晴らしい国民性により更に大きく発展することで近隣諸国のリーダーシップを取っていくのは疑う余地も無い.