東京都葛飾区金町の歯科医院 尾澤歯科医院院長の野村です
2019年10月26日(土)27日(日)の2日間にわたり、インプラントのスタディーグループであるCIDクラブの講演会に参加しました。
今回は「認知機能障害から高齢患者への補綴治療を考える」というタイトルにて講演しました。
日本は全世界に先駆け超高齢社会の先陣をきっています。
高齢患者が増えていく中で、我々歯科医師が出来ることは何なのか。
認知機能が低下していく中で、どのような介入をするべきか。という内容のお話。
文献的には歯の本数が20歯以上の方に対し、19本以下で義歯未使用の方の認知症発症リスクは1.9倍。転倒のリスクは2.5倍、要介護の危険性が21%増加。
など多くの文献にて歯の数は少ないことによるリスクについて掲載されています。
また、軽度認知障害(MCI)の方は認知症にも移行しますが、正常に戻る可能性もあります。
歯科としては咬合の回復が認知症発症リスクの低下に寄与すると考えられています。
義歯でもいいのですが、インプラントによる咬合回復の方が優れているため、当院では積極的にインプラントを行っています。
骨の状態、年齢、基礎疾患や内服薬、本人のご希望、ご家族の意見、治療予算など総合的に判断する必要があります。
若年者の歯科治療のように理想的な治療が求められるとは限りません。
十分にお話をした上で、どのようにしていくかを決めていく必要があります。
91才の方で、義歯を入れたくないという患者さんがいました。
私は総義歯をお勧めしましたが、どうしてもインプラントでしっかりと咬みたいとのご希望。
心疾患や高血圧症がありましたが、担当医と相談しながらインプラントの手術をし義歯を避けてインプラントによる治療をしました。患者さんは「義歯にするくらいなら死んだ方がまし」とまでおっしゃっていました。
しっかりと咬むことが人生の幸福につながります。
義歯で満足出来る方もおりますので、必ずしもインプラントということではありません。
その方に合った歯科治療がありますので、十分にご検討いただき進めていきます。
QOL(生活、人生の質)の向上こそが幸福につながると考えています。