カテゴリ: 歯周病

歯間ブラシとデンタルフロス

「歯周病に効くお薬はありませんか?」

よく患者さんから質問をされます。

答えは「歯周病に効くお薬はありません。」です。

歯周病は細菌が原因ですので、抗菌剤が効きます。

しかし、細菌は死んでもすぐに増殖します。

原因となっている「何か」を改善しなければ治らないのです。

その一つにお手入れがあります。

尾澤歯科医院では、来院された方全員に歯磨き指導を行っています。

「1日3回みがいているよ。だから大丈夫」 などとよく患者さんに言われます。

回数、磨く時間は歯周病とは関係がありません。

磨き方が大事なのです。

そして、歯ブラシで届かないところを磨くことが大事です。

若年者や、初期の歯周炎の場合はデンタルフロス(糸ようじ)をお勧めします。

歯周炎が進行すると、歯肉が下がって歯と歯の間にすき間ができます。

そのような場合には、歯間ブラシが適しています。

1日1回でもいいですから歯間ブラシ、デンタルフロスを使用することをお勧めします。

 

投稿日: by nomura

インプラントと歯周病

日本人成人の8割が歯周病といわれています。

程度の差はあるため、中等度、重度の歯周病だけですともう少し下がるかも知れません。

インプラントは人工物ですが、インプラント周囲炎になります。

インプラント周囲に細菌が付着し、その細菌が毒素を出すことにより炎症がおこるのは、ご自身の歯と同じことです。

最近の研究によると、インプラント周囲炎と、歯周炎とでは細菌叢(細菌の種類)が違うかもしれないという結果が出ています。

重度歯周炎症を引き起こすAa菌、Pg菌等以外にインプラント特有の細菌がいるかもしれませんがまだ研究段階です。

インプラント周囲の軟組織は天然歯と比較すると構造が異なります。

天然歯の周りにはセメント質があり、そこからコラーゲン線維が走行しています。すなわち歯と歯周組織は機械的に結合しています。

インプラントは人工物のため、インプラントからのコラーゲン線維はありません。歯周組織のような機械的結合が望めません。

このことよりインプラント周囲組織の脆弱性が心配されます。

プラークコントロールや過重負担、被せものの形態等などに、天然歯以上の注意を必要とすることに注目した方が良いでしょう。

投稿日: by nomura

口臭について

来院時のアンケートにて、「口臭が気になる」をチェックされる患者さんが多いです。

口腔内には多くのタンパク質が存在します。口腔上皮は代謝が旺盛なため、

役目を終えた細胞は口腔内に捨てられます。

また、細菌と戦った白血球、死滅した細菌、食べかすなどいずれもタンパク質です。

タンパク分解酵素により分解された結果、硫化水素やメチルメルカプタンという臭気物質が産生されます。

したがって、誰のお口でも臭いが生じます。

口臭は発生する原因により分類されます。

①生理的口臭:早朝時口臭、空腹時口臭、緊張時口臭、加齢にともなう口臭など

②飲食物、嗜好品による口臭:ニンニク、飲酒、薬物の服用など

③口腔内に疾患による病的口臭:歯周病、口腔軟組織の炎症、舌苔など

④口腔以外の疾患による病的口臭:鼻疾患、呼吸器疾患、糖尿病、肝疾患、腎疾患、悪性腫瘍など

⑤心性口臭(自臭症):口腔神経症、口腔心身症

原因は様々ですが、当院に来院される患者の口臭の原因のほとんどは歯周炎です。歯周病の主原因はプラーク(歯垢)です。つまようじの先にとったプラークには1億個もの細菌がいるといわれています。

したがって、手入れをきちんとすることにより、口臭の予防になるのです。

「きちんと」が大事です。

自己流は禁物です。

投稿日: by nomura

歯周病勉強会

先週の土曜日は歯周病の勉強会でした。

会員のケースプレゼンテーションと東歯大有床義歯補綴学の山田将博先生の講演がありました。

山田先生はインプラント、骨の基礎研究者です。

今回はインプラント上で骨形成の過程を基礎研究を交えて。

インプラントのチタンのエイジングの話があり、興味深い話でした。

インプラントを製造し患者の口に入るまでに期間があり、

その間にエイジングがおきてしまうとのこと。

紫外線を既成のインプラントに照射することで、チタン表面をプラスの電荷に荷電させることで、

親水性が増す → ぬれが良くなることで、骨の生成を促進する。という考えでした。

以前、学会にて開業医がシンポジウムに出ていたので聞いたことがあります。

しかし、開業医の話は研究者の話とは違い、信頼性に劣るものでしたので聞き流しておりました。

基礎研究者の話はいつ聞いても刺激になります。

もう少し勉強してから再度報告したいとおもいます。

投稿日: by nomura

歯周病原菌について

嫌気性菌といって、酸素がなくても繁殖する細菌が原因菌です。

お口の中には300種類以上の口腔内常在菌が存在します。

その中で特に悪さをする細菌がいます。

グラム陰性嫌気性細菌です。

しかし、細菌単独では歯周病を発症しません。

発症のための条件 (Greenstein 1999) として、

・バクテリアの十分な毒性

・バクテリアの量が十分

・宿主(人間)の免疫反応に打ち勝つ

・宿主の感受性

以上の条件があるそうです。

投稿日: by nomura